2013.08.20|家族

 

暦の上では秋だがまだまだ酷暑が続いている。

けれど、夕暮れが早くなり、風に秋の気配が感じられるようになった。

今夏の想い出は、飴屋法水さんの演劇「教室」を観たことにつきる。

この暑さを飛ばすものだった。

飴屋法水さんのパートナー、コロスケさんと6才のくるみさんと共に作った本作は

「家族」の形を根底から問い直すものだった。

本物の家族が本人として登場するのだから、本作はノンフィクションと言ってもよいかもしれない。

家族が仕合せを求めるってどういうことなのだろうか。

コロスケさんの渾身の台詞、「あなたは、今、幸せですか」という問に飴屋さんは「僕が死んで、その骨が

撒かれて、それを食べる虫は幸せですか」と応える。

そもそも仕合せってめぐりあわせのこと。

幸せの形に定型はないのだろう。

幸せとは人間が作り出した概念だ。

蝉や魚は、親がだれかも分からない。

無心に生きて、交尾して、死んでいく生き物の前でどれほどの意味があるのか。

「人生は大げさなもんじゃない」と唄う飴屋さんの声は絶叫に近く脳天が壊れると

思われるほどの凄まじさがあった。

メスとオスとの対決とも思える演劇だった。

基、生殖と仕合せ(幸せ?)についての授業だった。

家族って多様でいいのだろう。

1+1が2になったり、3になったり4になったりすることなのだろう。

わたくしは、関係性を作ることが下手な人間だと思って今まで生きてきた。

この演劇を観て、ふと楽になった。