2013.06.10|キジバトの結婚報告

こころにふれた話を紹介します。
獣医師の原樹子さんは、上野動物園の動物病院係長として、約三千五百頭の命を預かっているそうです。心がけるのは「自分の子どものように愛情を注ぐ」。その大切さを確信したのが十六年前の出来事だったそうです。
ある日、巣から 落ちたキジバトのヒナが園内で保護されました。原さんは親代わりとなって世話をし、羽ばたけるまでに成長したヒナを園内の森に放ちました。だが、すぐ戻ってきてしまいます。野生で生き抜いてもらうため「絶対エサはやらない」と追い払ううち、姿をみせなくなりました。
翌月、産休に入った原さんは次女を出産。半年後に育休明けで出勤すると、二羽のキジバトが飛んできて病院の軒に止まり原さんを見下ろしました。「同僚は昨日まではいなかった」と明かし、「おまえを見て来たんじゃないか」と。
原さんは、「あの子がお嫁さんを見せにきたんだ」と思いました。
ただの直観ではありません。
ハトは長期の視覚記憶が優れているという研究結果があるのです。
子離れの時は、寂しいものですが、注いだ愛情は必ず伝わり、自立して生きぬいていくものなのでしょう。
人間も一緒ですね。